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『エーゲ海のねこ シエスタの町から』エピソード・25



シエスタの町でよく見かける花と言えば、なんと言ってもブーゲンビリアだ。

エーゲ海の夏は高温なうえに、雨なんてさっぱり縁のない乾燥した日が続く。
そんな過酷な環境を生き抜ける植物はそう多くはない。
他に町で花を咲かせているのは、せいぜいゼラニウムやキョウチクトウくらいだ。

ブーゲンビリアの本来の開花期は秋なのだそうだけれど、シエスタの町では真冬以外はずっと咲いている印象がある。
常夏と勘違いされている方も多いエーゲ海地方だけど、冬は普通に寒いし、時には雪だって降る。
寒くても枯れずに冬を越せるのは、パワフルなエーゲ海のお陽さまのおかげかもしれない。

ところで、ブーゲンビリアの本当の「花」はどこに咲いているかご存知だろうか?。
皆さんが花だと思っている色鮮やかな部分は苞(ほう)と言って、葉が変化したもの。
その苞の中にある、白くて小さなものが花だ。

条件が良ければ、一度色付いた苞はひと月くらいは枝についている。
たくさんの苞が鈴生りになっている姿は、それはそれは見事だけれど...
それらが風に舞いながら落ちて地面を染める様も、またとても美しいものだ。

その地面に落ちた苞だけれど...
これがネコ、特に遊び盛りの子ネコたちにとっては恰好のおもちゃになる。
天然の猫じゃらしだ。

ブーゲンビリアの苞は葉っぱが変形したものだから、もともと軽くてカサカサとしている。
それが枝から離れると、強い日照りと乾燥した空気で、さらにカラカラのパリパリになってしまう。
これが風に乗ると、カサコソというネコが大好きな音をたてながら地面を転がってゆく。

あとは、ご想像のとおり。
ネコが勢いよく飛び出してきて、それを追いかけ、捕まえては突き回す。
そんな光景が毎日、町のどこかで繰り返されて、ゆっくりと時間は流れてゆく。

きっと...
今日もシエスタの町にはブーゲンビリアが舞い
ネコたちがそれを追いかけていることだろう。

Photo:
ブーゲンビリアで遊ぶまだ若いネコ
その動きは、ずっと見ていても飽きることはない
ネコにとっても私にとっても、癒しの時間だ


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