『エーゲ海のねこ シエスタの町から』エピソード・23

「暑い日はネコについて行けば、涼しいところに連れて行ってくれる」

もう何年も前のことだけど、あるテレビ番組でそんな企画があった。
酷暑の日に某タレントさんが、野良ネコの後をひたすら尾行。
結果、焼けたアスファルトの駐車場のど真ん中にごろりと寝転ぶ羽目になる...という落ちだった。

同じことを、シエスタの町で何度か試したことがある。
もっとも、お陽さまが燦々と降り注ぐ日中は、ネコたちは日陰でお昼寝中。
なので、ピークよりは多少涼しい時間帯だったけれど。

で、どうだったかと言うと...
壁や塀を乗り越えたり、狭い隙間に潜られたり、民家の敷地へ入り込まれたり。
殆どは途中でうまく撒かれてしまった。

それでも、ちゃんと「涼しいところ」へ案内してもらったこともある。
行き着いた先は、カフェやショップ...。
冷房がよく効いていて、文句のつけようがない涼しさだった。

せっかく連れて来てもらったのだから...と、フラッペ（ギリシャ式アイスコーヒー）で喉を潤したり、素敵なアクセサリーに手を伸ばしてみたり...。
そうしている間に、当のネコはこっそり姿を消してしまうのだけれど。
でも、暑い中を町歩きする時、そんな風に涼しいところで休憩することは大切だ。

エーゲ海を含め、地中海地方の夏の日中は湿度こそ低いものの、本当に暑い。
用もなく歩き回ると、熱中症になりかねない。
だからこそ、シエスタという習慣が根付いたのだから。

ところで、もしシエスタの町で涼しいところに連れて行ってもらうなら、イヌたちの後をついて行った方がいい。
壁を乗り越えたり、狭いところに入るなんてことはなく、人も涼める木陰や風通しのよいところへ連れて行ってくれるはず。
まあ、時にはやっぱりカフェやショップに連れて行かれることもあるけどネ...。

Photo:
シエスタを終えたネコの後を追うと
爽やかな風が吹く港へ出た
...でも、最初の場所の方が涼しかったな...

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