『エーゲ海のねこ シエスタの町から』エピソード・14

エーゲ海にぷかぷかと浮かぶ島々。
お陽さまが燦々と降り注ぎ、潮風が爽やかに駆け抜ける...
多くの方は、そんなイメージをお持ちかもしれない。
そして、実際そのとおりだ。
6月から9月にかけては、観光のベストシーズン。
その間、雨の日はほとんど無く、乾燥した強い陽射しの日が続く。
青い空と碧い海が広がる、エーゲ海らしい季節だ。
...だけど、いつもそうとは限らない。
時には一変、荒れ狂うことだってある。
その様はまるで、スヤスヤと眠っていた赤ん坊が、目を覚ました途端に大暴れするようなものだ。
以前、荒天で島に閉じ込められたことがあった。
他の島へ移動する日だったのだけれど、折からの強風で飛行機も船も全て欠航。
風はその後も弱まることなく、結局3日間身動きがとれなかった。
あまりの風で夜に送電線が切れて、島中が闇に包まれてしまった。
タイミングが悪いことにちょうどシャワー中だったので、暗闇の中で冷水を浴びる羽目に...。
そんな状況下でも、真っ暗な窓の外の何処かから楽しげな笑い声が運ばれてくるところに、陽気なエーゲ海の島らしさを感じたものだった。
それはさておき...
荒れた空模様の日には、ねこの姿を見かけることも少ない。
たぶん、風を凌げる物陰でシエスタでもしながらやり過ごしているのだろう。
時化(しけ)た海面を「うさぎが跳ぶ」と表現することがあるけれど...
そんな日は「ねこが姿を消す」ので
専ら「私はお昼寝」をして過ごすことにしている。
Photo:
強風の日の夕方
この日やっと出逢えたねこ
海面には"うさぎ"が跳んでいる
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