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『エーゲ海のねこ シエスタの町から』エピソード・1(後編)



(〜前編の続き)

『ヒモパンちゃん』とは、私が勝手につけた名前だ。

別の "なにか" を期待していた方には申し訳ないけれど...
由来は「紐のような尻尾をしたパンダ模様のネコ」 から。
本人の「もっとマシな名前をつけろ!」という声が聞こえてきそうだ。

彼女との最初の出逢いは、シエスタの町を撮り始めた2005年のこと。
当時は酷い皮膚病を患っていて、耳は爛れてまるでキクラゲのよう。
毛艶は悪く、下半身はかなりぽそぽそで、尻尾なんてほぼ丸裸だった。

そんなシッポの風貌から「ヒモ」を連想したのだけれど...
まあ、とにかくみすぼらしいネコだった。
ただ、その出で立ちのおかげで、強く記憶に残ることになった。

それからというもの、毎年シエスタの町に通う度に、顔を合わることになる。
まるで会う約束でもしていたかのように、どこからともなく現れては「ニャ〜」と一声かけてくれた。
気の毒なくらいみすぼらしかった容姿も、訪れる度に回復して、とうとうカバーを飾るほどに綺麗になった。

表紙のカットは2012年に撮ったもの。
そして裏表紙は、その別カット。
エーゲ海の風が駆け抜ける、見晴らしのいい崖の上。

ゆったり・まったり・のんびりと、シエスタを楽しんだり
ゆっくりと海原をゆく大きなクルーズ船を眺めたり...
彼女のお気に入りの場所だった。

だけど...

これを最後に、彼女の姿は見えなくなってしまった。
地元の人々に尋ねても、行方はさっぱりわからない。
なにしろ、宿無しの野良ネコだ...。

今でもこの場所は、ヒモパンと最初に出逢った頃と少しも変わっていない。
あの時と同じ青い海が広がり、あの時と同じ癒しの風が吹いている。
その風に毛を靡かせて海を眺めている彼女の姿が見えるようだ。

ひょっとしたら、そのうちまたエーゲ海の優しい潮風が彼女を連れてきてくれるような...

そんな気がしてならない。

Photo:
裏表紙の元カット
製本上の都合で切れてしまったけれど
ボートの行方を目で追っている


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『エーゲ海のねこ シエスタの町から』
PHP研究所 刊
定価:1350円(税込:1458円)



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